フィリピン針生旅日記

フィリピン一人旅 

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自作恋愛小説 HIMITSU 禁断の愛 4

吉雄が妻に魅かれた理由は、三十路を過ぎた女性にしては、童顔でえくぼがとても

かわいいこと、それと甘い話しぶり、時には目つきが怖くなるほど、厳しい表情を見せる

二面性をもっていたからだ。

それと仕事に対してサービスがよいこと、セックスの虜にさせることだった。

当初彼の妻は、吉雄には気などなかった。

もちろん、他に常連客の中に魅かれる好男子も存在していた。

しかし、こまめに吉雄が彼女の元に通いつめ、交流を深めていくうちに、彼女も

本気になっていった。

「私の元へ通いつめた客は数しれないわ。でもこの人は違う。私を人として見てくれて

いるわ。・・・」

そう、感じ始めてから一緒にベトナムで暮らすまで、たいして時間はかからなかった。

入籍こそ未だに入れていないが、ほとんど内縁関係が確立し、夫婦と言えるほど仲

睦まじすぎた。

家計は、妻がきちんとやりくりしていた。吉雄はただ黙って自分の貯金を預け、

それと出稼をした金を渡すだけだった。

妻は、シビアすぎるほど生活費をやりくりすることにたけていた。

だから、吉雄はただ黙ってお金を毎月渡すだけでうまくいっていた。

美容院と小さな雑貨屋だけの経営でも生活費はたりるが、何か大きな買い物をしたり

行事があったりしたとき金が足りなくなるため、吉雄は日本へ出稼ぎに行っていた。

すでに一緒に暮らすようになって3年あまりの月日が流れた。

1年目は日本に働きに行かず、ベトナムにとどまっていたが、2年目から吉雄は半年

単位で出稼ぎに行くようになったのである。

ふたりの夢は、今の住居を解体して、5階建ての商業ビルを建てる目標ができたからだった。

そのためには、最低日本円で300万円ほどの資金が必要だった。

吉雄には、以前トラックドライバーで貯めていた金があった。

そのことを妻にも話した。しかし、定期預金にしていたため、暫く満期日までは時間があった。

翌日、あいにく秋雨に変わり、薄っすらと冷たい秋の風が朝から吹きついていた。

自転車のペダルをこぐ足取りもなぜか重く感じた。

吉雄は、妻のことが気になっていた。

なぜなら、もし彼女が妊娠した場合、今度も帝王切開にでもなった場合、母子とともに

危険になることもあるからだった。

「電話してみよう。子供は授かりたい。でももし、彼女が異常分娩になることがあると危険だ。

複雑な心境だ。」

一人ペダルをこぎながら、近くの公衆電話ボックスに駆け寄った。

「大丈夫よ。私は元気にしているわ。今日は朝からもうふたりのお客さんが見えたわ。

あなたも健康に気をつけて稼いで、早く帰ってきて。私たちには子供がいないから

私 一人だと夜が寂しすぎるわ。」

翌日、会社が紹介してくれた心療内科で、麻薬 アヘンを使用していないことを証明するために

病院を訪れた。

そのあと住所登録してある役所を訪れ、戸籍謄本、それと身元証明書を揃えた。

会社に電話をして、書類がすべてそろったことを伝えた。

電話口には、面接担当官がでて、翌日書類を持参し、即日に研修が始まることを伝えられた。

「明日、朝、9時に会社に来てくださいね。即日から4日間、研修を始めますからね。」

「はい、わかりました。宜しくお願いします。あの、忘れていましたけど給料日は、いつで何日締め

でしょうか?」

「月末20日締めの月の最終日ですよ。」

面接担当官は歯切れよく答えてくれた。

吉雄の夕飯は、日本に来てから、近所にある100円ショップで食べる、おかずパックばかりだった。

1日の食事代は、およそ1000円以内、それと部屋代が日に換算して、1000円ぐらいだったので、

1日あたり、2000円弱かかる計算になっていた。

「日本は、べトナムに比べて物価が高い、その分日数を働いて、預金しなくちゃ。」

100円ショップのレシートを見上げながら、働いた日給から経費を引いていつも計算をしていた。

「今月は、いくらくらい妻に送れるだろうか。」

「無理しなくていいわよ。私は自分の仕事があるから、あなたは、病気と怪我だけに気をつけて。」

妻の電話口からこぼれる会話は、いつも吉雄を気ずかうことが多かった。

できれば、一緒に暮らしたい、そう願わずにはいられない。

狭い、部屋に戻ると薄い壁伝いに、隣りの部屋からイヤホンからこぼれる、音楽が聞こえてきた。

壁は薄い。隣りの音がすべて透き通る薄いガラスのように聞こえてきた。
 
畳1,6畳ほどの空間すべてが、吉雄の日本での生活空間だった。

狭すぎた。息がつまりそうだった。

会社に寮はなかった。

東京都内でも格安物件だったため、辛抱して暮らすしかなかった。

指折り数えて妻の元へ戻れる日。しかし遠く感じた。

就寝する前に目をつぶる。妻との出会いから、現在に至るまでの過程が、流星のごとく

記憶の中から消えてまた、浮かんでくる。

愛とはこんなにも苦しいものか、人を愛すると同時に、苦しみが発生する。

俺は、妻と生活のために離れなければならない。こんな生活が死ぬまで続くのだろうか。

果たしてそれでいいのだろうか?

自問自答を繰り返すうちに、いつの間にか眠りについてしまった。

幸福警備の事務所には、朝から電話の問い合わせ、業者からの発注などで忙しかった。

あいにく、小雨ふる秋の変わりやすい天気だったため、工事を中止する業者も多かったからだ。

各隊員は、受け持ちの現場を任されており、前日に決まった現場を責任持たなければならない。

「はい、幸福警備です。・・・・・警備士さん、今日の・・・・・建築さん、雨天決行です。通常通り

現場へ向かってください。」

面接担当官は、雨が降っている朝は、隊員からの問い合わせ、業者からの連絡など電話に追われていた。

吉雄は、ちょうど事務所のスタッフが電話対応で一段落終えたあと、事務所にたどり着いた。

ドアをノックして中へ入る。

元気な声が事務所の奥から聞こえてきた。

「山越さん、おはようございます。雨の中ご苦労様です。イスにかけてお待ちください。」

すると奥のほうから、黒ぶちのめがねをかけた中年の凛々しい顔立ちをした、幹部社員がたくさん

の書類を抱えてやってきた。

午前中は、警備法、道路交通法、それぞれ交通誘導に必要な知識を高めるために、勉強

することを伝えられた。

「山越さん、私、山川と申します。今日一日、座学の担当をいたします。」

吉雄は、研修期間4日間、座学と実際現場へ出向いての実地研修が、法律で義務付けられて

いた。

研修期間内もきちんと給与が支払られる。しかし、現場で働きだしてから、最低30日間以内に

退職した場合に限って、研修期間内の給与は、支払われないと約束されていた。

「がんばって働かなくてはならない。何がなんでも途中でやめることはできん。ベトナムに置いて

きた妻のため、俺たちのためだ。これから生まれてくるかもしれない、子供のためにも

ギッブアップはできん。」

心に強く決意をして、担当警備士の座学を熱心に聴いていた彼だった。

研修最終日は、現場実地だった。実際に制服を着て実地体験を行う。

吉雄は、前日に担当教官から渡された地図と住所、それと現場責任者隊長の氏名、業者の書き

記された用紙を受け取った。

仕事開始より、早めに現場に到着するために、通勤電車も混雑する前に乗車していた。

秋も深まり、朝晩は少し肌寒い。新品の制服に身を着こなし、どこか若かったころの、学生服に

身を着こなしていたころを思い出す。

制服には、幸福警備と金の糸で縫いされ、また身分証明書には吉雄の生年月日と氏名 顔写真が

書き記されている。

「身が引き締まる思いだ。制服を着ていると自分だけの価値観より、会社も自分の背中に背負って

いるようだ。」

給料に比べ、警備の仕事は社会的責任が重い、そう思わずにいられなかった。

交通誘導員の合図一つで、交通が乱れたり、円滑に進んだりするわけだから、その任務は図り

しれない。

電車の窓ガラスから見渡す車窓は、東京の下町をゆっくりとレールに沿って進んでいった。

秋に咲き乱れる、コスモスが線路沿いに優しく見える。

吉雄は、コスモスの花を見つめながら、風景が変わるたびに、ベトナムに置いてきた妻と

照らし合わせていた。

妻とコスモスの花。いったいいつまた会えるのだろうか。どうして離れ離れに暮らさなければ

ならないのだろうか。もっと他の選択肢があったのかもしれない。

自分に楷書があれば、何も日本で苦労して単身赴任のアルバイトをしなくても済んだかもしれない。

コスモスの花たちを見つめながら、妻と自分を照らし合わせているようだった。

現場から近い駅に着いてホームに降りると、額に冷たい雨が付いた。

どうやら、雨が降り出してきたようだ。空を見上げてもどんより、憂鬱なドス黒い雲だ。

吉雄は、リックサックの中から雨傘を取りだした。

雨傘を右手でさし、左手には現場の地図が書いてある紙を見ながら、足を憂鬱に進めた。

現場は、数件の商店とコンビニスマーケットがあるだけで、閑散とした住宅街の中心にある

都道だった。

道路の端に前日工事した跡と、資材が整理されて置いてあった。

仕事開始まで1時間以上もあったため、近くに公園か体を休められるところがないか、探し当てた。

近くに都営団地が朝の静まりとともに、悠然と白く高く聳え立っていた。

階段の下は、雨風がしのげる。吉雄は、近くにあった自動販売機から、一缶だけ朝のコーヒー

を買った。

階段に腰を降ろして、タバコに火を点けながら、コーヒーを飲んだ。

2年前に、肝臓を壊してからからは、酒類は一切口にしなくなっていた。

唯一、口にする楽しみはタバコとコーヒーであった。

特に、だれもいない 朝の部屋で飲むコーヒーとタバコは格別の至福のひと時だった。

そんなひと時にも、頭から妻のことを忘れることはできなかった。

強い、想いがあるのか次から次へと妻の顔が想いだされてきた。

「いったい、彼女は元気にしているだろうか。心配事が常に頭から離れん。俺はどうして

こうもデリケートなんだ。」


続。


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  1. 2012/07/26(木) 06:00:16|
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針生 あつし

Author:針生 あつし
フィリピンの好きなところ。
言葉が通じる。海がきれい。!
人間がおおらかで、ソフトで優しい。
日本人のようにに細かいことにうるさくない。
南国気分を味わえる。
日本の生活に息抜きしたくなったら、フィリピンに行きましょう!



 
  

 
 
 

 


 
 



 
 
 































 


 



 
 









 
 


 




 
 
 

 










 


 


  

 






  




 




  


 



 














 

 





 


 
























 

 



















 





 



































 











 

 
 




 

 
 

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