フィリピン針生旅日記

フィリピン一人旅 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

自作恋愛小説 HIMITSU 禁断の愛 7

※ さて、突然のスコール、店に現れたその男とは、







妻のアラーンは、ベトナムでの生活はいたって平凡な日々を暮らしていた。

前夫に比べ、生活こそ豪華ではないが、社会的レベルの高すぎる前夫の交流関係に

飽き飽きすることはなく、自然体な生活に満足だった。

夫の吉雄は、年間の半分は日本で仕事に従事して留守だったが、寂しさも毎日かけあう

電話での会話によって、より一層関係を濃くしていた。

「今日は、私からあの人に電話してみよう。」

携帯電話を先月買い変えたばかりで、余計な付属品はついていない、ノーマルな物

だった。

「おねーちゃんから電話かけると吉雄さん怒るわよ。ベトナムから電話かけると高いって。

早くスカイープのやりかた覚えたほうがいいよ。」

ベトナムでも昨今、IT電話が普及し無料でかけることができた。

「でも私、機械音痴でさ。まぁーいいわ。話たくなったとき電話をかけるのが、一番ロマンティック

よ。・・・・」

店の大きな鏡を布巾で丁寧に磨きあげた。

口を大きく開けて息を鏡に吹き込むと、白く曇ってさらに、布巾で磨き上げるその動作すべてが

アラーンたちには幸せに思えた。

「おねーちゃん、明日は、近所の町会長さんの娘さんが、結婚式を近くであげるそうだから、

今日は、たくさんお客さんが来るわよ。・・・」

妹のグレンは、モップで床を磨き終えると、そう言った。

「本当、そうだといいけどね。現実は甘くないんだよ。私は近所でも妬まれているの。

夫がさ、日本人だからね。しかも夫が日本でしこたまお金を稼いでいると、みんな思って

いてさ。それでさえも充分なはずなのに、美容院まで経営しているとかね。あっー、やだやだ。」

アラーンは、首をうなだれながら小さな声で、妹のグレンに囁いた。

「そんなことってあるの。どうして人が幸せになって、他人から妬まれるのよ。」

妹は、姉のアラーンが、大変な思いで帝王切開したことを知っていたからこそ、怒りさえ覚えた。

「そんなことはないよ。私たちはまだ不満足だよ。だって私たちの間には、子供がいないからね。」

無表情に 鏡を拭く手を休め、鏡に写った自分の顔をジッーと見つめるアラーンだった。

ようやく、店内の清掃が終わると、ふたりはイスに腰掛けて客を待っていた。

「すごい、雨だね、スコールだよ。今日は雨で客は少ないだろうね。」

突然 降りだした雨の音は、勢いよく路面に当たると、ぱちぱち音をたてながら、

人影もまだらになりはじめ、店の中も暗い印象を与えた。

「今日も待ちぼうけかな。これだから雨季はだめだね。でも吉雄が働いてくれて送金

してくれるから助かるよ。・・・・」

安堵のため息と同時に、外へ目を向けると、小走りに駆け寄ってくる人影が見えた。

頭から足の先まで、ねずみ色のビニール合羽に身を包み、めがねレンズは前が見えなく

なるほどに水滴が付着していた。

男は店先に到着すると、安心したのか、合羽を脱ぎ雨水を払い落としている。

髪の毛は、ずぶぬれだった。

アラーンは、突然の訪問客に戸惑いながらも、、引き出しからタオルを取り出し、その男

に差し出した。

男は、軽く頭を下げ、めがねをはずし終えると、アラーンの顔を見つめた。

ふたりは、一瞬、見覚えのあるお互いの顔に驚いた。

「あれ?もしかして・・・・・アラーンじゃない?中国で働いていたでしょ?」

男は、卓越なべトナムを操る日本人男性だった。

「そ、そうよ。あっ!あなたは、もしかして、・・・・・・・・・」

ふたりは、以前中国とベトナムの国境の町、中国側の町で親しくしていた間がらだった。

「そうよ、私、アラーン。あっ、思い出したわ。矢崎さんね。どうしてここに、?」

「俺さ、君があの町から突然に 消えてから随分、探したんだよ。だってこの町が君のホームタウン

だと聞いていたけど、中々探せなくてね。あれからもう3年たつのかな。俺は、まだあの町で

暮らしている。ビザクリアのとき、この町まで来てふらつきながら君を探していたんだ。

今日のスコール雨は、神様がくれた幸運だね。・・」

矢崎は、タオルで濡れた体をふかしてもらうと、店の中に入り、遠慮なくイスに腰掛けた。

アラーンは、突然の再会に驚いた。しかもこの矢崎という人物は、以前からアラーンに


好意を抱いていたからだ。



アラーンが中国で働き始めた当初から、彼は毎日のように彼女を指名してきた。

そのために、日夜時間をいとまないほどに、ベトナム語の勉強に時間を割いていた。

アラーンのことだけを想う日々は、苦痛になるほど恋心が胸につきささった。

なぜなら、彼女は24時間管理されていた娼婦だったからである。

お金を払わなければ、彼女との会話交際はできなかった。

矢崎は、少なくなってきた滞在資金をも切りつめながら彼女との再会を楽しみながら

日々を暮らしていた。

そんなある日、突然アラーンは、町から姿を消してしまった。

携帯電話で常にメールでのやり取りをしていたが、彼女の携帯電話は繋がらなくなっていた。

矢崎は、頭の中が突然空白になってしまった。

店の老板に尋ねると、ベトナムに帰ったという返事に過ぎなかった。

それ以上の情報を彼女たちから得ることは、不可能だった。

矢崎は、中国での滞在最大日数15日目が訪れると、アラーンの故郷へ数日間出かけるように

なっていた。

まったく手がかりなどなく、閑散とした駅前の商店街を北から南へ、東から西へあてもなく

ただ歩いているに過ぎなかった。

アラーンと別れてから3年目の月日がたったある日、彼が住む中国の町で、以前アラーンと

同じ店で働いていた女の子と道ですれ違った。

女の子もアラーンと同じ町から出稼ぎに来ていて、アラーンと同じく近所に住む間柄だった。

さりげなく、女の子にアラーンのことを聞くと、女の子は、家から10kmほど離れた住宅街の

中にある商店街で美容院を経営している、という話を聞きだした。

矢崎は、その話を聞いていてもたってもいられなくなり、すぐにアラーンの住む町へ行くことに

した。

そして、天の恵みか、突然舞いふりだした大雨が彼たちの再会を現実のもとした。

アラーンは、突然の訪問客に驚いた。店の奥から冷たい水が入ったグラスを彼にさしだすと

笑みを浮かべながら言った。

「私ね、今ある人と一緒に暮らしているの。まだ結婚はしていなけれど一緒に生活してから

もう、3年たつわ。」

ひと呼吸をおいてから、矢崎は言った。

「そ、そうなんだ。やっぱりね。3年前のあのとき、君は突然町から消えたから、俺も驚いたよ。

それに携帯電話がなぜ、繋がらなくなったのか、そのことも疑問に思っていたさ。」

「だって、私、あの町で働いていたすべてを消したかったからよ。彼が携帯電話の番号を

変えるように言ったから。」

「でも 俺にひとこともメールさえくれないで消えたから心配したよ。老板もベトナムに帰った

としか教えてくれないしね。」

ふたりは、大雨の音さえもみ消すほど、集中して会話していた。

「老板に私から誰にも教えないように頼んだのよ。だって私 たくさんのお客を持っていたから。

ベトナムまで追いかけられてこられても、うれしくないのよ。」

矢崎は、天上にぶら下がっている蛍光灯を見つめながら言った。

「そうなんだ。じゃ、あのときすでに決めた人がいたんだね。・・・」

「そうよ。彼は日本人。」

矢崎は日本人と聞いて驚きを隠せなった。

「えっ!・・・に ほ ん じ ん ?」



続。


にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(愛欲)へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/07/29(日) 06:00:48|
  2. 自作小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<自作恋愛小説 HIMITSU 禁断の愛 8 | ホーム | 自作恋愛小説 HIMITSU 禁断の愛 6 第2章 過去の愛 現在の愛>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://wow1212.blog60.fc2.com/tb.php/1141-c727229d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

針生 あつし

Author:針生 あつし
フィリピンの好きなところ。
言葉が通じる。海がきれい。!
人間がおおらかで、ソフトで優しい。
日本人のようにに細かいことにうるさくない。
南国気分を味わえる。
日本の生活に息抜きしたくなったら、フィリピンに行きましょう!



 
  

 
 
 

 


 
 



 
 
 































 


 



 
 









 
 


 




 
 
 

 










 


 


  

 






  




 




  


 



 














 

 





 


 
























 

 



















 





 



































 











 

 
 




 

 
 

最新記事

最新コメント

カテゴリ

未分類 (8)
御挨拶 (21)
バナウエ タウン (6)
ルゾン島 バナウエ バダッド (7)
ルゾン島 カンボロ村 (2)
バンガーン村 (4)
バナウエ ハオパオ村 (6)
バギオ (11)
ルゾン島 ベンゲット州 アバタン (1)
ルゾン島 マウンテンプロバンス州 マイニット温泉 (0)
フィリピン素朴女性 (2)
マイニット温泉 (7)
ルゾン島 サガダ (19)
ルゾン島 ベサオ (3)
ルゾン島 ボントック (4)
ルゾン島 ビガン (10)
イロコス州 ラワグ (4)
ルゾン島 アンへレス (12)
ピナツボ火山 (7)
ルゾン島 ラグーナ (1)
ルソン島 マニラ (9)
ルゾン島 サフェルナンド (9)
ネグロス島 ドマゲティ (15)
ネグロス島 バコロド (12)
マンブカルリゾート (3)
ネグロス島 カンラオンシテイ (1)
ボボール島 (6)
スーパーフェリー (9)
シキホール島 (13)
ルゾン島 レガスピ (24)
Mt Amuyao (17)
Mt Napurawan (16)
Mt pulag (40)
セブ島 (3)
ミンダナオ島 ダバオ (10)
Mt Apo (10)
サマール島 (2)
ベトナム編 (16)
ラオス情報 (12)
ミヤンマー情報 (2)
タイ情報 (21)
タイ バンコク (10)
タイ チェンマイ (3)
カンボジア情報 (12)
関西国際空港 (1)
その他 (65)
中国編 (78)
番外編 日本 (4)
自作小説 (36)
ミンダナオ島 キダパワンシティ (1)

リンク

月別アーカイブ

検索フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。