フィリピン針生旅日記

フィリピン一人旅 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

自作恋愛小説 HIMITSU 禁断の愛 9

※ 妻アラーンの身に一体何が起こったのか。?

吉雄が幾度となく電話をかける。しかし、







矢崎は、首をうなだれたまま、足に腕を回しこみ寝込んでしまった。

アラーンは、奥の部屋から毛布を取り出し、彼の背中にかけてあげた。

矢崎は気がついたのか、軽くアラーンに向かって頭を下げたあと、また眠りについてしまった。

「姉さんは、優しすぎるからいけないのよ。彼も勘違いするじゃい。吉雄さんだけに

優しくしないとだめよ。」

薄笑いを浮かべた妹は、雨が止むことを知ると外へ行ってしまった。

「まったくあの子は、ませているんだからしょうがない子ね。でもあの子の言うとおりだわ。」

ようやく、雨もあがり、どんより雲から青空が広がってきた。一気に地中の大気が熱風に変わった

のか、蒸し暑くなってきた。

矢崎も照り光る太陽光線が、まぶしすぎるためか眠りから覚め、ようやく重いからだを立ち

上がらせた。

「アラーン、長いこと雨宿りさせてくれてありがとう。3年目に君にあえて本当によかった。

僕の長年の想いは達成できたからあとはもういい。元気に暮らしてくれよ。」

最後の言葉を言い残し、早足でその場を去った。

矢崎の後ろ姿がどこか寂しげに写ったのか、アラーンは店の奥から駆けるように

彼を追いかけた。

矢崎が振り返る。アラーンは、目を大きくし瞬きさえせず彼を凝視した。

矢崎は、アラーンの気持ちがわかったのか、その場で彼女を強く抱きしめた。

あまりの腕の強さで、アラーンは呼吸さえできなかった。

しかし、呼吸ができないほどの力が、逆に彼女からしてみれば、刺激的に思えた。

「だめよ。痛いわ。人が見ているわ。」

「そんなことどうだっていい。僕はやっぱり君のことがどうしても忘れることができない。」

「そんなこと言われたって、私にどうしろというの。決めろというの。?無理だわ。」

「じゃ、どうして君は僕をここまで追いかけて来たんだ?」

「わからないわ。自然に足があなたを追いかけたのよ。」

「もういい。わかった。何も言うな。このままでいたい。・・・」

ふたりは、晴れあがった道の真ん中で暫く、抱きあっていた。

沿道に聳え立つ街路樹の葉が、チラチラと雨露とともに、彼女たちの肩へ舞い落ちた。

晴れ上がった日差しが、雨露をさらに光り輝かせている。

矢崎は、彼女の肩に腕をかけ、近くにあったベンチシートに腰掛けた。

沿道の喧騒は、大雨から晴天に変わるように、人、車、自転車の往来も激しくなっていた。

ふたりに喧騒は耳に入ってこなかった。

鳥が枝から枝へ、鳴き終えることを忘れたかのように、激しく飛び交っている。

「これからのことは、どうでもいい。このまま君といたい。」

矢崎は、アラーンに今後の関係について決断させることはしなかった。

ただ、一緒にこのままの状態で、時がたつことを忘れさせてくれればそれでいいと思っていた。

「もう、いいわ。わかったわ。何も言わないで。私にどう決めればいいといいうの。」

アラーンは、このとき矢崎の肩に、頭をもたれかかった。

言葉などもうふたりの間に介在せず、体を密着させてベンチシートに座っているだけで心地よかった。

美容院の陰から、ふたりが抱きしめあっていた情景を 妹はイスの陰から暫く凝視していた。

そのあと、公園のベンチシートでさらに肩を寄せ合って座っている姿は、妹から見れば異様だった。

「ねーちゃん、いったいどうしちゃったのかしら。吉雄さんという、旦那さんがいるというのに。

もう、信じられないわ。あの男、ふたりの家庭を壊しにきたのかしら。・・・・・・・・・

吉雄さんにこのことを、私が言いつけたりでもしたら、どうなってしまうのかしら。」

妹は、憤慨と理解できない情景をただ見ているしか、術はなかった。

この場の情景をすべて、吉雄に報告することは妹の口からは、絶対に言えなかった。

いっぽう、東京でひとり仕事に精を出している吉雄は、今日も冴えなかった。

部屋は、間口2畳もない、小さなレンタルオフィスを寝床にしていた。

持ち前のかばん、リックザックを部屋に置くと、もう寝るスペースさえない。

「会社に寮があればまだいいんだが、仕方があるまい。それにしてもきのうからアラーンのやつ、電話に

でないけどいったい何かあったのかな。妹に電話してみよう。」

今日は、会社からの連絡で、急遽日勤から夜勤に変更してくれるようにと頼まれていた。

今まで日勤の生活に慣れきっていたためか、日中寝ることはできなかった。

部屋でインターネットをする以外、特別何もすることはなかった。

「・・・・・もしもし? グレン? アラーンの携帯電話 通じないよ?あいつに何かあったの?」

「吉雄さん、?元気にしていますか?ねーちゃんは、とても元気よ。多分、電話が壊れたと思うわ。

今、買い物に行ったからあとで連絡しておくわ。心配いらないから・・・。」

妹のグレンは、何かよそよそしいほど、言葉に自信がないように思えた。

吉雄は、アラーンに何かが起こったことを、長年の同棲生活で直感的につかんだ。

「おかしいな、電話が壊れたとしたら、あいつの性格からすれば、すぐに俺に電話してくるはずだ。

妹だって携帯電話を持っているしな。俺が毎日、電話することに生きがいを感じているほど、小豆な性格

だってこともわかっているはずだ。」

吉雄は、携帯電話を机に置いて、体を横にして天井を見上げた。

暫く、目を閉じ、さまざまなことを創造していた。

いつのまにか、眠りについてしまった。電子置時計がけたたましく、電子音のアラームを鳴り響かせる。

朝、妹のグレンに電話してからすでに6時間はたっていた。

一行にアラーンから、電話をかけてくることはなかった。

吉雄は、このとき何か重大な異変が彼女の身に起こったことを否めることはできなかった。

彼は、これから向かう現場に備えて、身支度に手を休めることはなかった。

交通誘導員の仕事は、たくさんの装備品を持参しなくてはならない。

一つの装備品でも忘れると、仕事ができなくなり、業者からの評価も下がる。

吉雄は、不安に包まれた。頭の中がベトナムに置いてきた妻のことで一杯だった。

もし、今の時点でもいいから、彼女からの電話があれば、それだけで不安は打ち消すことができるというのに。

彼女からの電話はこの日1回もなかった。

吉雄も自分から電話をかけることはやめた。仕事が忙しいという理由付けを自分にしていた。


続。




にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(愛欲)へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/07/31(火) 06:00:13|
  2. 自作小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<自作恋愛小説 HIMITSU 禁断の愛 10 | ホーム | 自作恋愛小説 HIMITSU 禁断の愛 8>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://wow1212.blog60.fc2.com/tb.php/1144-fad7c7cb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

針生 あつし

Author:針生 あつし
フィリピンの好きなところ。
言葉が通じる。海がきれい。!
人間がおおらかで、ソフトで優しい。
日本人のようにに細かいことにうるさくない。
南国気分を味わえる。
日本の生活に息抜きしたくなったら、フィリピンに行きましょう!



 
  

 
 
 

 


 
 



 
 
 































 


 



 
 









 
 


 




 
 
 

 










 


 


  

 






  




 




  


 



 














 

 





 


 
























 

 



















 





 



































 











 

 
 




 

 
 

最新記事

最新コメント

カテゴリ

未分類 (8)
御挨拶 (21)
バナウエ タウン (6)
ルゾン島 バナウエ バダッド (7)
ルゾン島 カンボロ村 (2)
バンガーン村 (4)
バナウエ ハオパオ村 (6)
バギオ (11)
ルゾン島 ベンゲット州 アバタン (1)
ルゾン島 マウンテンプロバンス州 マイニット温泉 (0)
フィリピン素朴女性 (2)
マイニット温泉 (7)
ルゾン島 サガダ (19)
ルゾン島 ベサオ (3)
ルゾン島 ボントック (4)
ルゾン島 ビガン (10)
イロコス州 ラワグ (4)
ルゾン島 アンへレス (12)
ピナツボ火山 (7)
ルゾン島 ラグーナ (1)
ルソン島 マニラ (9)
ルゾン島 サフェルナンド (9)
ネグロス島 ドマゲティ (15)
ネグロス島 バコロド (12)
マンブカルリゾート (3)
ネグロス島 カンラオンシテイ (1)
ボボール島 (6)
スーパーフェリー (9)
シキホール島 (13)
ルゾン島 レガスピ (24)
Mt Amuyao (17)
Mt Napurawan (16)
Mt pulag (40)
セブ島 (3)
ミンダナオ島 ダバオ (10)
Mt Apo (10)
サマール島 (2)
ベトナム編 (16)
ラオス情報 (12)
ミヤンマー情報 (2)
タイ情報 (21)
タイ バンコク (10)
タイ チェンマイ (3)
カンボジア情報 (12)
関西国際空港 (1)
その他 (65)
中国編 (78)
番外編 日本 (4)
自作小説 (36)
ミンダナオ島 キダパワンシティ (1)

リンク

月別アーカイブ

検索フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。