フィリピン針生旅日記

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自作恋愛小説 HIMITSU 禁断の愛 第7章 アラーンの憂鬱 32

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第7章   アラーンの憂鬱





店内は、小規模であったが、美容院らしくいくつもの機材が、置いてある。

白い壁には、アラーンが若きころの写真が中央に飾ってあった。

「この写真、君の?・・・」

疑い深い目でアラーンに問いかける吉雄。

「そうよ、今から7年前に、ハノイの写真屋さんで写したの。」

創造できないほど、彼女の顔は今とは違って見えた。女は、年輪を重ねるうちに変貌して

いくものだ。

庭先には、緑色のセダンカーが駐車してある。

姉のだんなが、仕事で車を使用しているそうだ。

「うちの人、ベトナムはガソリン代も高いけれど、ブローカーをしているから車持ちでな

いとルックダウンされるのよ。」

吉雄は、古くて老朽化されている家屋に比べ、車もちの彼が不思議で仕方がなかった。

日本でも車を所有する維持費は、子供を育てるよりお金がかかる。人間も車も同じで、所

有するには食べさせなければならなかった。

なのになぜ? 貧乏一家が車を所有しているこの事実は、日本人である吉雄には到底理解

できなかった。

毎月の経費がものすごくかかると思うからだ。

居間の中央には、ベトナム独自のリビングセットがあった。キッチンもすごく簡素で簡単

な料理を作る程度の設備だ。

天井を見上げてみるようにと、アラーンから指を指される。

ベトナム独自の竹で出来た屋根かわらも、老朽化が進んで大きな穴がある。

雨が降るとものすごく雨漏りがして不便だと、彼女は言った。

屋根の修復費用に工面せず、車を乗り回している義理の兄は、おそらく仕事のために使用

しているのだろう。

狭いリビングの棚には、多くの陶器が飾られていた。

北ベトナムは、古くから中国文化の影響を受けていて、陶器にも漢字が記されている。

「随分、高尚な趣味を持たれていますね。・・・」

陶器を眺めながら、吉雄は姉夫婦に語りかける。

「これね、うちの人の趣味じゃなくて、仕事なのよ。田舎の家、一軒一軒車で訪れて買い

付けて、売っているのよ。・・」

吉雄には、専門分野ではなかったためか、興味も示さなかったが、家族のいずれも働いて

いることが分かった。

またこの地域は、勤め場所も驚くほど少ない為か、各人それぞれ自分の商売を持っている。

姉は、美容院経営、だんなは陶器の販売、それとアラーンだけが唯一、中国で娼婦として

お金を稼いでいたのである。

残念なことに、ベトナムでの会社勤めは、給料が安くみなそれぞれ、個人で経営すること

を考える。

アラーンの家族もみな、一応自営業者だった。

しかし、個人経営は、売り上げにも波があり、まったく収入にならないことも多々あった。

アラーンが中国の置屋で働くことになったのも、姉と経営する美容院がまったく売り上げ

が伸び悩んでいたためだった。

ベトナムテトの前は、それでも女性のお客は多い日が続いた。

山で暮らす両親と幼い姉妹の為にも、もう少しお金が必要だった、アラーンは姉妹兄弟の

中で唯一独身ということで、

中国に働きに出かけることになったのである。

居間に隣接されている小屋は、物置小屋かと思ったら、アラーンが笑みを浮かべながら吉

雄に告げた。

「中に入って。さぁ~・・・私ここで寝ているのよ。・・・」

吉雄は、耳を疑った。まさか物置小屋で寝泊りしているとは、創造さえも沸いてこない。

窓がない、天井は高いが、小屋の作りは、トタンと曲がった木材が唯一、柱の役目をしている。

右脇には、縦1m 横幅2m弱の大きな鏡が吊るされていた。

「ずいぶん大きな鏡だね。・・もしかして美容院で使っていたものなの?・・」

「そうよ、以前近所で店を借りて、美容院を経営していたの。そのときに使っていたのよ。・・・」

驚くことにアラーンは、以前にも店を経営していたのだ。

現在は、姉夫婦の土地に店を建て、小さいけれど立派な店を持っていた。

「君ってずいぶん、やり手だね。美容院が好きなんだ?・・えらいよ。感心したね。俺な

んかこの歳でまだ店一軒ももてないんだ。

20歳前から自分の店を持つことが夢で、若いころは、寝る時間も惜しんでずいぶん働いた

もんだ。しかし、金を残しても店

を一軒ももてないまま、すでに長い年月を越してしまった。」

薄くらい、アラーンの部屋で一人大きなため息を付いたあと、彼女の若さと努力に敬意を

表した。

「だって、吉雄さん、ベトナムの会社に勤めるのってすごくお給料安いのよ。私、これで

もハノイで働いていたことあるけれど、給料とは言えなかったわ。

でも技術が磨けると思って一生懸命働いたの。・・・」

壁にかけてあった鏡に、自分の顔を近ずけながら呟いた。

「えらいね。そのとおり。俺も若いころ、コックをしていたけど見習い当時は、みんなそ

んなもんだ。修行だからな。でも君は、自分の店を

手に入れた。感心するよ。それに比べて俺なんか・・・・」

「いいじゃない。これからふたりで何か始めようよ。・・・」

咄嗟にでたアラーンからの言葉に驚く吉雄だった。

「えっ!どういう意味?だって君ここにお店あるじゃないか?・・・・」

「そう、私がお店を建てたの。でも姉のだんなさんの土地じゃない。?だから今では、姉

の店になってしまった感じよ。・・・」

約、1年近くも中国で働いているうちに、自分が建てたというお店まで姉に取られてし

まったのか?。

「その意味、姉さんにお店取られたという意味かな。・・・」

「姉は、美容師経験が他の店でなくてね、私が教えて仕込んだのよ。だから私が中国で働

いていたときは、姉もずいぶん技術的に不安だったと思うわ。」

「君は、それじゃ、苦労して中国で働いてきて、体を酷使して、店の借金がようやく終

わったというのに、店は自分のものじゃなくて、姉にくれてやると言うのかね。・・」

吉雄には、アラーンの考えが理解できず、声をいきなり荒げてしまった。


続。
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  1. 2012/08/23(木) 06:00:14|
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針生 あつし

Author:針生 あつし
フィリピンの好きなところ。
言葉が通じる。海がきれい。!
人間がおおらかで、ソフトで優しい。
日本人のようにに細かいことにうるさくない。
南国気分を味わえる。
日本の生活に息抜きしたくなったら、フィリピンに行きましょう!



 
  

 
 
 

 


 
 



 
 
 































 


 



 
 









 
 


 




 
 
 

 










 


 


  

 






  




 




  


 



 














 

 





 


 
























 

 



















 





 



































 











 

 
 




 

 
 

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