フィリピン針生旅日記

フィリピン一人旅 

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自作恋愛小説 HIMITSU 禁断の愛 33

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吉雄からすれば、アラーンの気持ちはよく理解できた。

以前にもフィリピン人女性とつきあった経験もあり、非常に彼女たちは家族思いである。

・・そう感じとっていたからだ。

いまどきの日本人に、爪の垢でも飲ませてあげたいぐらいに家族思いであった。

そんなアラーンの愛しい心が、吉雄の心をさらに奥深く広げていった。

「君は、今まで築いてきたお店も姉の元へ、さらに自分の家がほしいからと、また売春し

に働きに行くのかね。?・・」

吉雄は、アラーンに畳かけるように居間の天井を見上げながら尋ねた。

「そうよ、私は貧しい山岳民族出身。現金を得るためには、売春しかないのよ。美容院も

建て前の部分があってね。本当は男性客と親しくなって、スペシャルをするためなの。ベ

トナムでは結構人気なのよ。だって美容院はそんなに資金もかからないし、原価も低い

し。ちょっとだけいいことすれば、簡単にお金が手に入るのよ。・・」

得意げに話すアラーンは、横目で自分の眼を見ているようだ。

咄嗟に吉雄は、アラーンの頬を平手で叩いた。

「パーン ・・・」

両手で頬を隠して、鏡の前にうずくまるアラーン。

「痛い!何んてことするの?・・・あなたって人は?・・・・」

吉雄からしてみれば、アラーンに対する想いの意思表示だった。

外のほうから、近所のおばさんがアラーンの姉を呼んでいるようだ。

「ゾンはいるかい?髪洗ってほしいんだよ。・・」

黒髪の一部が風に乗ってひらひらと乱れている。

アラーンは、目頭を手で拭いさると、入り口ドアをガタン!!と勢いよくあけて、

初老のおばさんに告げた。

「今 市場に買い物に行ってるから、あとで電話かけるように告げていくわ。・・」

幾分アラーンの声は、涙声と憤りに満ちた声に聞こえた。

「アラーン顔を叩いたりして悪かった。・・・」

吉雄がアラーンにわびを入れたあと、静かに居間の席から立ち上がり、ホテルに戻ろうとした。

するとアラーンは一言彼に告げた。

「どこに行くの?・・・」

静かに吉雄は答えた。

「ホテルの部屋に戻る。もう日本に戻る準備もしなければならないし。・・・」

・・・とそのとき、涙声でアラーンは吉雄に告げる。

[今の話、聞き流して!私のこと誤解しないで。・・・」


訴えかけるように、吉雄の後姿を追うように手を肩にかけて言った。

振り向きざまに、吉雄はアラーンと目を合わせることを避けるようにして告げた。

「君は、心まで売春婦になってしまったのかね。俺は、君がそこまで変わってしまったと

は思わなかったよ。・・」

そのまままっすぐ後ろを振り返らず、吉雄はホテルの部屋に戻って行った。

一人居間に残されたアラーンは、茫然とただ立ち、自分が調子に乗ってしゃべりすぎたこ

とを後悔し初めていた。

吉雄は、定宿しているホテルの庭にある、ビアホイ屋(現地のビール店)の椅子に腰を下


ろすと、たばこに火を点け、ビアホイを頼んだ。

店の主人の娘が、黒縁の眼鏡から美しい瞳を覗かせ、愛想よくビアホイを運んできた。

「あなた日本人ですか?・・」

たどたどしい、日本語をこんな田舎町で聞くことができて、吉雄は一瞬言葉に詰まった。

「うん、そうだよ。君は日本語を勉強しているのかね。?」

一口 ビアホイを飲んだあと娘に問いかけてみた。

娘は、忙しそうに体を一回転させたあと、吉雄の目線を避けながら答えた。

「私、ハノイ大学の学生です。日本語勉強しています。・・」

娘は、普段ベトナム語だけの会話だったため、現実に日本人と会話する状況に戸惑ってい

るようだった。

「語学はね、とにかく積極的に話かけて耳から覚えることだ。恥ずかしいとか思わないこと。

上手だよ、僕が先生になってあげるよ。・・・」

思ってもいないことを、口走ってしまった吉雄だった。

「ありがとう。」

娘は、裏庭にある、たらいの中のグラスの洗い物を忙しそうに洗い始めた。

吉雄は、急にさびしさを感じ始めていた。

アラーンの頬を叩いたこと。それと現実に若い娘を目の前に話かけても、どうも相手にさ

れていないと感じとっていたからだ。

「アラーンを叱ったことは悪いと思っていない。俺の気持ちだ。・・」

ちょうど、ビアホイを2杯目のお代わりを頼んだあと、彼の携帯電話がけたたましく鳴り

響いた。

ビービービ―。ビー!!!!!

アラーンからの電話だった。

ゆっくりと耳元に電話をあてると、静かに返事した。

「吉雄さん、今からホテルの部屋へ行ってもいいかしら。・・・」

「なんだ?改まって?毎晩俺の部屋に来ているじゃないか?・・」

アラーンは、夜遅く毎晩のように彼の部屋に泊まっていたのだ。

「私、話があるの。」

彼女は、静かに重い声で、そっと息を吹きかけるように呟いて話した。

酔いが回り始めてきたのか、吉雄は一つ返事でアラーンを部屋で待つことにした。

いったい何の話があるというのか。

1時間ほど前、彼女の頬を叩いたことと関係があるにちがいない。

吉雄は、幾度も脳裏にかすめるアラーンの想いにふけっていた。

「この俺がしばらくしたら、日本帰ることで何か話があるというのか?・・・」

日本のアパートとは比べものにならないくらい、広いホテルの部屋を退屈しのぎに彼は片

隅から雑巾がけを始めることにした。


荷物整理はすでに終わり、日本に戻っても帰るあてもない。

日本に帰る目的は仕事。それだけだった。

あまりにも中年男性にしてみたら、はりのない、みだらなむなしい日本での現実がただ

待っていた。

トン トン。

ドアを叩く音に敏感になるほど吉雄は胸騒ぎが起きた。

ドアをノックする人物は、アラーンであることに確信した彼は、急いでドアを半開きに開けた。

やっぱりその姿はアラーンだった。

後ろ髪を巻いて首襟を艶っぽく見せながら、化粧水の芳香がやたら、人格を変えさせるほ

どインパクトを与えてくる。

「さぁー中に入って。・・・」

いつもと変わりない、二人の再会だった。

吉雄からプレゼントでもらったセカンドバックをダブルベッドに放り投げると、アラーン

は吉雄の胸に飛び込んできた。

「どうしても日本に帰るの?私も一緒に行くわ。・・・・」

アラーンの話はこのことだった。吉雄は特別驚きもしなかった。

小柄な体系の割に、アラーンが全身で抱きかかってくると、さすが吉雄も苦しかった。

だが、アラーンの本能的な行動がとても愛おしく感じた。

「おい、おい、そんな強い力で服が破れるじゃないか?やめておくれ。・・」

抵抗さえしながらも、内心吉雄はうれしさを隠すことは、できなかった。

「ねぇ、私もあなたと日本へ行くわ。もう、中国で働きたくないわ。さっき話たことは、

仕方がないことなのよ。わかってくれるしょ。・・・」

アラーンの目はとても吉雄からすれば、このときほどまぶしく感じたことはなかった。

「に、にほん?・・・・へ行きたいのか?そうだな、それは無理だ。・・・」

突然、思いもかけない吉雄の返事にアラーンは、驚いた。

「えっ?どうして?ど どうして?私を連れていけないの?・・・」

この歳になって、自分より二回りちかく歳が離れている若い女に、甲斐性もなくあっさり

断る自分が情けなかった。



続。
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  1. 2012/08/24(金) 06:00:49|
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針生 あつし

Author:針生 あつし
フィリピンの好きなところ。
言葉が通じる。海がきれい。!
人間がおおらかで、ソフトで優しい。
日本人のようにに細かいことにうるさくない。
南国気分を味わえる。
日本の生活に息抜きしたくなったら、フィリピンに行きましょう!



 
  

 
 
 

 


 
 



 
 
 































 


 



 
 









 
 


 




 
 
 

 










 


 


  

 






  




 




  


 



 














 

 





 


 
























 

 



















 





 



































 











 

 
 




 

 
 

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